安心・安全な野菜を食べる方法は、自分で野菜をつくること!?
目次
野菜の安心・安全について
”食”の安全・安心志向が高まっている昨今、「有機」や「オーガニック」表記のお野菜が沢山目に止まるようになりました。安全・安心志向に寄り添った野菜は、健康を意識している人にとっても嬉しい存在なのだろうな、と思います。
しかし有機野菜の表記があるからといって”無農薬”とは限らないし、本当に化学肥料も農薬も使わない野菜が何も知らない私達の目に止まることはほぼ0といっても過言ではないでしょう。そのぐらい、私達が知ろうとしない限り、何も分からないのが”安心・安全”の現状です。
が、そのように考えると自分にとって安心・安全な野菜というのは、自分が生産者側にまわることで解決するのでは?と私は思い立ちました。
自分でつくれば安心・安全では?
市販されている野菜についての「添加物・防腐剤まみれで安心じゃない!」「いや、有機野菜も安全じゃない!」といった論争を見かけていた中で、涌きあがってきたのが
自分でつくれば、自分にとって一番安心・安全なのでは?
という考えでした。
自給農業という考え方
例えば自給農業という考え方がシンプルです。
自分の食い扶持は自分でまかなう
引用元:中島正,2007,『農家が教える自給農業のはじめ方―自然卵・イネ・ムギ・野菜・果樹・農産加工』,農文協
という非常にワイルドな一節がありますが、実際に自分のつくる作物に、”作物がなんの病気にもなっていないのに”有毒・有害なものを吹きかけ、それを食べるといった人はいないでしょう。
食の安心・安全といった議論でよく挙げられる「農薬」も、生産者側・消費者側の両方が、それが一体何のために使われているのかを理解しなければならないと考えます。
虫に喰われてしまったり、運送途中で腐ってしまってお金にならない状態を避けるために、化学物質は利用されている訳です。
そこで「虫食いくらいへっちゃらよ!」と思えるのであれば、自分で作物をつくる時、除虫剤などの利用はおのずと減るでしょう。
ライフスタイルとのバランスが大切
もちろん自分でつくるとはいえ、完璧な自給自足農業を行なえるのは数えられるくらいの人数といったところでしょう。早々簡単に、農地を開拓し、自分達が生活するのに十分な野菜だけで生きていけるという生活は送れない、そう私は考えています。
でも「レンタル農園」や「ベランダ菜園」で、プチ農業を実践することは簡単にできます。
なんなら”週末農家”なんて生き方もできます。自分にとって安心・安全な野菜をつくって食べるだけであれば、毎日やらない農業だっていいんです。”自分にとって”が大前提なのだから。
いきなり完璧を求めるのではなく、少しずつ少しずつ、自分の理想に近づけていく努力をすればいいと思っています。まずは葉野菜をベランダ菜園で、極力化学の力を借りずに育ててみようかな〜とか、サポートを借りて無農薬野菜に挑戦してみようかな〜とか。
自給農業のステップ
さて、実践してしまえば簡単だ!とは言うものの、今まで”農業”と接点を持たなかった人にとって野菜を育てるというのは少々ハードルが高く感じるかもしれません。
そこで自給農業に取り組むためのステップをご紹介していきます。徐々に野菜づくりに慣れていくことで、自分にとっての安心・安全の定義も形作られていくと思いますし、野菜づくりが楽しくなってくれば極めたくなってくるものです!
家庭生ゴミを活用してみる
まず家庭から出る生ゴミを活用して、自給農業の第一歩を踏み出してみませんか?
例えばにんじんや大根のヘタ(芯?)の部分。あまり積極的に食べる場所ではない、とお考えの人もいるかと思いますが、実はあの部分を水につけるだけで、みるみる葉っぱが生えてくるんですよ。私からすれば、これも立派な自給農業のひとつだと思うのです。
この生ゴミになるはずだった部分の活用は、1日1回水を交換するだけで育ちますし、後は伸びてきた葉っぱを料理して食べるだけですから、ミニマムな栽培が実践できるのです!
100円以下で購入できる豆苗も、食べる部位を切り取った根元はそのまま捨てるのではなく、タッパー等に水を張り、1日1回水をあげ、直射日光の当たらない場所に置いておけば、5〜7日程度でもう1度味わうことができます。
それからこれは実験的な要素も強いのですが、野菜や果物から出る種をそのまま土にまいてみるのもオススメです。じゃがいもやピーマンの種など、条件が合えばもう驚くほどに生えてくるものです笑。
「生えるかな?」と思って生やしていくうちに、種に見合った条件(水はどれくらい必要か、光に当てるべきか否かなど)を研究するようになっていたら、次のステップに足を踏み入れても問題ないと思いますよ。
ベランダで育ててみる
「生ゴミを活用するミニマムな自給農業じゃ物足りない!」そんな人は、ベランダという小さなスペースを利用して野菜を育ててみましょう。気分は夏休みの宿題です笑。プチトマトを育てた経験のある人も、少なくないのではないでしょうか。
ベランダのスペースを利用すれば、ある程度大きな鉢入れやプランターに手を出すことができますから、農園を借りて大きく土を耕すのはまだ自信がない・・・という人にはもってこいと言えるでしょう。
土に植えることになると、ある程度知識が必要になってくるかもしれませんが、まず始めは市販されている種の裏面に表記されている栽培時期や条件に、真面目に従うことをおすすめします。
基礎をしっかり経験することが、失敗した時のリカバリーのしやすさにつながります。
ちなみに小さな区画でも有機・無農薬栽培は可能です。『有機・無農薬栽培で安全安心な野菜づくり 佐倉教授「直伝」! 小さな菜園でも収穫倍増』という本もあります。そう、参考になるものは沢山あるんです。自信をもって取り組みましょう!
この本の質問コーナーにもありましたが、ベランダ菜園ではなく農園を借りることの方が、有機・無農薬栽培に取り組み”にくく”なる場合もあります(隣の区画が農薬を使っている、無農薬畑から虫がきたとの苦情など)。
このような場合を考えると、案外小規模なベランダ菜園は、身動きが取りやすい自給農業と言えるかもしれません。
農園を借りてみる
年200ものペースで増え続けているとも言われているレンタル農園。実際このレンタル農園は、高齢化や担い手不足に追い込まれた生産者側を助ける制度にもなっていて、年々注目度が上がっています。
私のように”農業”に直接関わりのなかった人でも、農園を借りることで、変に気負いすることなく農作物を育てることに触れられるため、手軽に”農業”に近づくことができます。
このことが、農業への理解・関心を高めることにつながる、とも言われています。
手ぶらで行けるサポート付き貸し農園【シェア畑】
では、農業を行なうのに必要なクワやカマ、剪定ばさみといった農具も設置されているため、手ぶらでふらっと立ち寄ることができるので、「必要な道具を揃えなければ・・・」というプレッシャーからも解放されます。
そのうえ定期的な講習会や、栽培経験のあるアドバイザーが週4〜6回勤務しているため、サポート体制もばっちりです。
ちなみに実家の父は、貸し農園だけを借りて独学でチャレンジしていますが、やっぱりどうしても収穫にムラがあります笑。父はそれを楽しんでいるので別に構わないのですが、【シェア農園】のようなサポート体制は、自給農業初心者には心強いはずですよ!
移住してみる
もし「ベランダ菜園」や「レンタル農園」だけでは飽き足らず、「自分の生活に必要な量だけでも、野菜を完璧にまかなえるようにしたい」「むしろ商売にしたい」といった願望をお持ちであれば、移住してしまうというのも一つの手です。
もちろん農園だけでなく住む場所も必要になってきますから、そう簡単に話は進みませんが、先で紹介した”自分の食い扶持は自分でまかなう”を叶えるには、このご時世、都市部より地方の方が叶えやすいとふんでいます。
自給農業の場所を決めるには、希望地を決めたらその地域の役所に出向き、農林課などで空き家や耕作放棄地についての情報を集めることが鉄則です。
その地域が移住者の誘致に積極的であれば、親切に案内してくれることも期待できるでしょう。この時案内された場所は必ず自分の目で確かめること!せっかく自給農業に取り組むのであれば、気に入った土地で続けられるのがいいですからね。
その土地に住むことになったら、土地へなじむことも大切ですが、まずは身近な庭先でさっそく野菜を植えてみることをおすすめします。その土地になじむ野菜を知るためには、やっぱり自分で経験することが一番です。
経験することは重要です!
結局安心・安全な野菜かどうかを決めるのは、それを食べる自分自身なのですから、それが安心・安全かどうかを経験して学ぶことはとても大切です。
自分でつくる経験をすれば、どのようなタイミングで化学肥料が使われてしまうのか理解することができますし、やむを得ない状況に陥った農家さんの気持ちを追体験することもできるでしょう。これは”経験しなければ分からないこと”です。
経験することは重要です。
どんな形であれ、一度は自分で野菜をつくることに挑戦してほしい。そう考えています。
参考文献:中島正,2007,『農家が教える自給農業のはじめ方―自然卵・イネ・ムギ・野菜・果樹・農産加工』,農文協