【家庭菜園のいろは】無農薬・無肥料栽培の基礎知識
せっかく家庭菜園をするなら安心安全の野菜作りがしたいですよね。
近年、食への関心が高まるに連れて、素材へのこだわりを持つ人が増えてきました。
中でも「無農薬野菜」「無肥料野菜」への需要が高まっています。
「無農薬」と聞けばどんなものか何となく想像がつくと思いますが、では「無肥料」という言葉は聞いたことがあるでしょうか?
おそらく、あまり馴染みがないと思います。
それもそのはず、無肥料栽培を行っている農家さんはごくわずかで、なかなかお目にかかることがないのも当然です。
しかく、歴史をたどれば昔から農薬や肥料があったわけではありません。
作物を育てる上で、様々な研究がなされて開発されたものです。
なので、昔の人々は農薬や肥料がない状態で作物を育てていたということです。
そこで、家庭菜園で無農薬・無肥料栽培に挑戦する際に知っておきたい基礎知識についてお話しします。
無農薬栽培とは
無農薬栽培は言葉の通り、農薬を使わずに作物を育てる栽培方法です。
農薬は害虫を駆除したり、雑草から作物を守るためのものですが、それを使わずにすべて手で取り除きます。
農薬は使いませんが、肥料は使用します。
ただし、化学肥料ではなく一般的には堆肥を使用します。
やはり農薬を使わない分、手間暇がかかるので無農薬栽培で作られた野菜は値段が高く売られています。
※補足
日本には、有機食品表示の規格である「有機JAS規格」がありますが、これは無農薬栽培を定めた規格ではありません。「無農薬」という表示は、「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン(平成19年改正)」において、「無農薬栽培」「減農薬栽培」等の表現は禁止されています。
市販されている農産物に「無農薬」表記がないのはこのためです。
「有機」と表記されている有機JAS規格の農作物=無農薬ではありませんので注意してください。
無肥料栽培とは
無肥料栽培とは化学肥料はもちろんのこと、発酵肥料(有機質肥料や家畜の糞など)も使わない栽培方法です。
「肥料無しで作物って育つの?」って思いますよね。
肥料は作物に栄養を与え、成長を促すために必要不可欠な物だというイメージではないでしょうか。
しかし、無肥料でも作物は十分に育ちます。
理由は簡単で、土が本来が持っている栄養素によって作物を成長させているからです。
想像してみてください、大きな家の庭によく柿がなっていますよね。
毎年、柿の木に肥料を撒いているお宅なんてそうそうないでしょう。それでも柿の木は毎年立派な実を作ります。
肥料がなくても木や作物は立派に育つのです。
ではなぜ無肥料農家があまりいないのか。
それはやはり品質と生産量が安定しないのが原因だと考えられます。
農業を生業にしている農家さんにとれば大きな問題ですよね。
無農薬・無肥料栽培を行う上での注意点
無農薬・無肥料栽培での野菜作りにはいくつか注意点があります。
家庭菜園の成功に欠かせない知識になるので是非覚えておきましょう。
無農薬栽培の注意点
無農薬栽培の注意点は以下の通りです。
- 害虫対策が必要
- 作物の育ちが悪い場合がある
- 雑草の駆除
無農薬で家庭菜園をする際に大きな壁となって立ちはだかるのが「害虫」と「病気」です。
農薬が担ってくれていた害虫駆除や病原菌の排除には特に気を付けなければなりません。
また、雑草の除去に除草剤も使えません。
一度作物に虫が付いてしまうと、仲間が増えることはあっという間です。
少し作物の世話をサボると葉っぱの裏がアブラムシだらけになり、駆除するのにかなり苦労したなんて話は家庭菜園経験者ならよくある話です。
農薬が体に良くないとわかっていても使われ続けるのには、農家さんが害虫や病原菌に悩まされ続けてきたという経験からでしょう。
虫食いだらけの作物になる前に、十分気をつけましょう。
無肥料栽培の注意点
無肥料栽培の注意点は以下の通りです。
- 作物に合った土壌づくり
- 作物が上手く育ちにくい
- すぐに結果が出にくい
肥料を与えない事から、より自然の栄養が必要になります。
なので「作物に合った土(環境)作り」がポイントです。
しかし、無肥料栽培については生産者が少なく、ノウハウが出回っていないのが現状です。
土の状態によって作物の出来が左右されるので、すぐに結果が出ないかも知れませんが、土本来の力で実った作物は苦みやエグみもなく、野菜本来のすっきりとした味わいだと言われています。
家庭菜園の天敵でもある害虫に関しても、肥料を使わないので虫食いや病気の被害も減ることがわかっています。
(ライター:shinichi910)