トマト、人参、唐辛子が赤いのはなぜ?!赤い野菜が食欲をそそる理由
突然ですが、赤い色って食欲をそそる色だと思いませんか?!
巷で一時期話題になった「青いカレー」などを見ると驚くほど食欲がなくなるので笑、赤色のもつ力ってすごいなと感じています。
そんな食欲をそそる色である赤色、ではなぜトマトや人参や唐辛子は”赤色”をしているのでしょうか。小さな頃から考えていた疑問なのですが、大人になった今でもその”色の理由”が気になっています。
そこで今回は、赤い野菜の謎に迫ることにします!
赤い野菜の謎に迫る!
今回着目している赤色のように、暖色系と呼ばれる色は食欲をそそる色として知られています。赤色だけでなくオレンジ色や黄色も、美味しそうに見える代表だと言えるでしょう。
もちろん赤色だけでなく、暖色と寒色の中間色である緑色も野菜の色として多く見られます。しかし、赤色には食欲をそそる確固たる理由がありました。
トマトが赤いのはなぜ?
トマトの赤色は、トマトに含まれるリコピンという色素によるものです。
野菜がもつ赤色の色素には赤紫色のアントシアンと橙色のカロチノイドがありますが、リコピンほど鮮やかな赤色を発色することはできません。あの特徴的な「真っ赤」はトマトだからこそできる発色です。
植物の実に赤色が多いことには理由があります。
植物が果実をつける目的は、種子を遠くに飛ばすためです。種子を遠くへ飛ばすためには、動物に果実を摂取してもらい、消化されない種子を排泄物として外へ出してもらう必要があります。
ということは、果実を食べてもらわなければいけませんよね。植物は完熟した種子を食べてもらうため、実を緑から赤色に変えて「食べごろですよ!」とサインを出しているのです。また赤色は非常に目に届きやすいため、遠くからでもサインがわかりやすいのです。
完熟していないうちに種子を食べられては困るので、未熟のうちは、苦味物質などで種子を守り、食べられないようにしています。植物の生存戦略はなかなか立派ですよね。
人参が赤いのはなぜ?
先で紹介したトマトの実が赤い話を聞いた時、赤い実をつける植物が多いことにも納得がいったのですが、ではなぜ人参は”土の中にいるにも関わらず”赤い(橙)色をしているのでしょうか。
これの答えは、人による品種改良の結果です。
元々紫色だった人参。そこから紫色色素のない黄色い人参が生まれ、更にそこから「食欲をそそる色」へと品種改良された結果が橙色なのです。
近年食べやすく品種改良された野菜が多く販売されていますが、人参の色も、人が食べたいと思う色への品種改良だとは驚きです!
ただ、野菜の美味しい見た目を生み出す色素の役割は、決して”色”だけではありません。抗菌作用や抗酸化作用といった植物が病害虫と戦うために必要な作用も持ちます。そのため人参の特徴的な色は、根を守るために身につけた結果、現れた色とも言えるのです。
唐辛子が赤いのはなぜ?
トマト、人参の色について考えると、疑問が湧いてくるのが唐辛子です。唐辛子は赤い色をしていますが、決して”甘い”味はしませんよね。
調べてみたところ、「食べごろだよ!」というサインに関しては、唐辛子もトマトなどの赤い実をもつ野菜と同じだということが分かりました。ただし唯一違うのは、食べてもらうための動物を選んでいる、ということです。
唐辛子を好んで食べる動物(逆を言えば、唯一唐辛子を平気で食べられる動物)は鳥です。
鳥には辛味成分であるカプサイシンを感じる受容体がなく、辛さを感じないことが知られています。唐辛子は種子を遠くへ運んでくれるパートナーとして、鳥だけを厳選したのです!
また私たち人間も、唯一唐辛子を好んで食べる動物と言えます。辛さを感じることはできるので、苦手な人は苦手ですが、辛い辛いと言いながら食べ進めることができるのは人間だけなんですよね。
野菜のしたたかさに驚かされますね!
参考文献
- 稲垣栄洋,2012,『トマトはどうして赤いのか? 身近な野菜を科学する』,東京堂出版
- 食卓と色彩 カラーコーディネーターに聞く色の活用術
- 知っておきたい!食欲を「そそる色」と「なくす色」
<ライター紹介>
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いつか自給自足生活を送ってみたいライター。ただし生粋のズボラなため、家庭菜園にまず「ラクさ」を求める。失敗は成功のもとなので、失敗してもあまり気にしない。育てるのが好きな野菜はハーブ、ピーマン、ナス。たくさん収穫できて、比較的虫がつきにくいから。