自分で野菜をつくる時におすすめの品種―「人参」

人参は、原産地はアフガニスタンでセリ科の緑黄野菜です。

人参は大きく分けて

  • 長根種
  • 短根種

の2種類に分けられます。長根種はオレンジ色の部分が長い金時人参など、短根種は根の短い五寸、三寸人参などが代表的な品種です。本記事ではそんな人参の育て方について紹介していきます。

人参の育て方

土づくり

種をまく前に土の状態を整えておきましょう。人参をつくる時の土づくりでは畝※づくりも先に済ませておきます!

※畑で作物を作るために、何本か間隔を空けて直線状に土を盛り上げた場所を指します。

タネまきの2週間位前までに、畑に

  • 苦土石灰
  • 完熟堆肥
  • 元肥(化成肥料)
  • 過リン酸石灰

を散布します。人参はpH5.5〜6.5の土壌を好みます。また人参は石灰が不足すると、根に丸い黒色の斑点ができてしまいます。石灰不足にならないような土壌づくりを心がけましょう。

人参は根が深く伸びるので、深さ20~30㎝位まで良く耕します

参考文献:土づくり|野菜づくりの基本編|みんなの農業広場

畝をつくるときは、後述する種のまき方に合わせて畝の形を整えます。

  • 一条まき:畝幅40㎝、間隔20㎝
  • 二条まき:畝幅60㎝、間隔20㎝

一条まきとは「1つの畝に1列すじまき※をすること」を指します。なので二条まきは「1つの畝に2列すじまきをすること」となります。1列か2列のすじまきがしやすいよう、畝の幅と間隔を整えましょう

※すじまきとは、1本の筋を描くようにつけた溝の中に種をまく方法です。

種まき

種まきの最適期は

  • 4月頃
  • 初夏の6月〜9月の晩夏頃

の2つの時期があります。人参を育てるのがはじめてという場合には「夏に種をまき、秋から冬に収穫する」という方法がおすすめです

種をまくときの手順を紹介していきます。

  1. 畝の面を平らにする
  2. 平らにした畝の面に幅約3cm、深さ約1㎝の溝をつくる
  3. 種を2~3㎜位の間隔ですじまきする
  4. 種の上に厚さは5㎜程度の土をかぶせる
  5. 手や鍬(くわ)の背を使い、かぶせた土を軽く上からおさえる
  6. かぶせた土が乾いたら水をたっぷりあたえる

種が乾燥しないよう、土をかぶせるだけでなく、その上に腐葉土やわらをかけると乾燥防止により効果的です。種まき後、1週間から10日位で発芽します。

間引き

収穫までの間に3回ほど間引きを行います。どのタイミングで間引きを行うべきか紹介します。

  • 1回目の間引き:本葉が2枚位の頃
  • 2回目の間引き:本葉が4枚位の頃
    隣の葉と重ならない程度の間隔(4㎝位)で行います
  • 3回目の間引き:本葉が6枚位の頃
    10㎝位の間隔で行います

間引きをする前に土が乾いている場合には、あらかじめ土を湿らせてから行うと間引き作業が簡単にできますよ!

追肥

2回目と3回目の間引きの際、間引き後に化成肥料を追肥すると生育がよくなります。肥料を与えたら土をよく混ぜ、人参の株元に軽く土寄せをしましょう。

病害虫対策

「黒葉枯病」と「黒斑病」に注意しましょう。「黒葉枯病」はその名の通り葉を枯らし、人参の根の生育を抑制してしまいます。「黒斑病」も葉に病斑をもたらし、生育に悪影響を及ぼします。

夏の高温期に発生しやすく、乾燥や肥料不足によって病気が広がります。見つけたら雑菌剤を散布します。

また害虫は、

  • ネキリムシ
  • アゲハ
  • キンウワバ

に要注意です!

ネキリムシは発芽した人参の幼い苗を根元から食べてしまいます。またアゲハとキンウワバは人参の葉を全て食べてしまいます。育てている人参や周りを良く見て、見つけたら捕殺や殺虫剤散布をしましょう

収穫

人参が育ったらいよいよ収穫です!

種まきから収穫までの目安は3〜4ヶ月前後です。人参のサイズにもよりますが、

  • 3寸人参ぐらいなら、3ヵ月半前後
  • 4寸や5寸人参ぐらいなら、4ヵ月前後

が収穫時期の目安です。

収穫するときは大きく成長した人参から順次収穫していきます。収穫する際には人参の根元を片手で掴み、根を傷つけないように丁寧に引き抜きます

また収穫した人参の上手な保存方法も紹介します。

秋に収穫した人参は、引き抜いた直後の土がついた状態のものをまとめ、上から土をかけて保存します。涼しい場所に貯蔵して保存することで痛みにくいですよ。

育てる際の3つの注意点

土づくりの注意点 

  1. 元肥や追肥に使う化成肥料は、N:P:K=8:8:8と袋にかかれているものがおすすめです
  2. 未熟な堆肥を使うと股根(二股)の人参になりやすいので、完熟堆肥を使いましょう
  3. 土が酸性に傾いていると生育が遅れてしまいます。pHを整えるために、苦土石灰は忘れずに散布しましょう
  4. 石などは取り除き、ゴロゴロとしている土は細かく砕いて取り除きましょう

畑の注意点

  1. 人参を植える際、使用する畑に前年、ネコブセンチュウ※1が発生していた場合にはその畑の使用を避けるのがおすすめです。もしその畑を使用しなければならない場合には、専用の薬剤などで事前に消毒し、それから人参を育てましょう
  2. 害虫被害に注意しましょう。コンパニオンプランツ※2であるマリーゴールド、クロタラリア、ハブソウなどを一緒に植えると、害虫被害に遭いにくくなるのでおすすめです。

※1ネコブセンチュウとは「植物の根に寄生する植物寄生性の線虫」です。ネコブセンチュウの被害を受けた植物の根は瘤状にふくらむのが特徴です。被害に遭うと根の機能が低下してしまい、生育に影響が出ます。

※2コンパニオンプランツとは「互いの成長によい影響を与え、共栄、共存できる2種以上の植物の組み合わせ、またはそれらの植物」を指します。

タネまきの注意点

  1. タネまきをする畝の土が乾燥している時は、タネまきをする前に土に水をかけて湿らせておきましょう
  2. 人参は発芽するのに光が必要な「好光性」の野菜です。覆土は薄めにかけましょう
  3. 人参のタネは水分の吸水力が弱いです。そのため、タネをまいた後に覆土が乾くと、発芽が悪くなってしまいます。発芽するまで覆土を乾燥させないよう努めましょう

<ライター紹介>

Rikuw

はじめまして。自分で野菜を作って自給自足生活を目標にしているライターのRikuwです。

私の野菜作りは失敗も多いですが、毎年、少しずつ上達しています。
自らの体験を通して、ズボラで面倒くさがり屋さんでも出来るだけ簡単で失敗しない野菜の作り方をお伝えしていきたいと思います。
一緒に野菜作りを楽しみませんか。

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