野菜好きになる絵本『ねずみのいもほり』~焼き芋が食べたくなる一冊~
最近はスーパーやコンビニでも焼き芋が買えるようになってきましたよね。大ぶりで食べ応えのある焼き芋は、おやつというか一食分のご飯でもOKなくらいです。
今回紹介するのはこの焼いてもふかしても美味しい「さつまいも」のお話。私たちにも大きく感じるさつまいもですから、絵本の登場人物にしてみたら、さらに巨大に見えていることでしょう。
ねずみのいもほり(作・山下 明生)
「どこかで見たことある絵だな・・・」と思ったら、作絵が同じくねずみの家族を描いた「14ひきシリーズ」の作者であるいわむらかずおさんでした。こちらは七つ子ねずみの子供達とお父さんお母さんの9匹家族のお話です。
知名度は14匹シリーズより劣るようですが、実は過去にテレビアニメ化もされている隠れた名作なのです!
今回のお話では、お父さんと七つ子がいもほり大会に出場します。ねずみの世界に量販店がある訳でもないので、いもほり道具はお父さん手作りのスコップ、いもほり会場までは長い道のりをひたすら歩きます。
大会が始まると自分たちより体の大きいイタチやウサギのライバルがいる中で、ねずみ達も穴を掘ってツルを引っ張り、とても楽しそうにいもほりに励みます。果たして優勝したのは・・・?
そして大会後にはお楽しみの焼き芋をみんなで仲良く食べるのですが、ねずみ達が自分の顔よりも大きいカット焼き芋を食べているのを見ると、必ず焼き芋が食べたくなっちゃいますよ。
保育園や地域のイベントでいもほりを体験することは意外と多いと思いますので、そんな時に参考資料として事前に読んでおきたい一冊です。
さつまいもってどうつくる?
ヒルガオ科のさつまいもは日当たりと風通しの良い場所を好みます。
苗はホームセンターではもちろん、直売所でも販売していることがありますので手に入りやすいです。植え付けをしたら収穫までは約4か月間と長めですが、その間は土が乾燥している時に水やりを忘れなければそれでOK!特別追肥などは必要ありません。
ちなみに植え付けは土に対して斜めに植える斜め植えが一般的で、これだと細長い芋が多数収穫できます。他にも土に対して垂直に苗を植える垂直植えという植え方もあり、これだと丸くて短い芋に成長します。
丸い芋の方が糖度が凝縮されて甘くなるので、お好みの植え方に挑戦してみても良いですね。
さつまいも栽培時には「つるボケ」に注意!
さて、絵本の中にも登場するのですが、良さそうなツルを一生懸命引っ張ったのに、出てきたさつまいもはひょろひょろした小さいものばかり・・・ということ、実際に経験した方もいるのではないでしょうか?
実はこれ「つるボケ」と言って、さつまいもにはよくある現象です。
土壌の窒素や栄養が多いことが主な原因。
先ほどさつまいもは植え付けをしたら水をやるくらいでお世話OKと紹介しましたが、実はさつまいもは、特殊な微生物と共生しており、この微生物が窒素から栄養を作っているのです。ですので、余計な栄養は土が肥沃状態となり、さつまいもにとっては逆に成長しづらい環境となってしまいます。
肥料は最低限、または使用しないくらいでもしっかりと育ちますので、さつまいもに過保護は厳禁です。この辺り、絵本に夢中になっている幼児にも言えることですね。
あとは水分や日当たりの過不足もつるボケの要因ですので、さつまいもを栽培する前には畑の環境をよく調べておくことが必要です。
まとめ
いもほり大会で奮闘するねずみの子供達が何ともかわいらしい「ねずみのいもほり」。
さつまいものリアルで嘘のないイラストが目を引きますが、もう一つ注目すべきはスコップを手作りし、いもほり大会に引率する「お父さん」の存在です。子供達に寄り添って野菜を取り扱えるねずみのお父さんはなんだか頼もしくてとてもカッコいいのです。ねずみの子供達とさつまいもに目が行きがちな「ねずみのいもほり」ですが、ねずみのお父さんの静かな活躍も大きな見どころですよ!
<ライター紹介>
suzumushi23
絵本とハーブと猫が好きな社会人ライター。
仕事に家事・育児にと時間がないので、家庭菜園に「簡単さ」と「コスパ」を求めて試行錯誤中。