野生植物と栽培植物は何が違う?!農業について理解を深めよう!
筆者は、農業と関わりのある職に就いたことはありません。でも、農業に興味があります!レンタル農園や地方移住、自給農業の話題が目に留まることが多く、「もっと知りたい!」欲で溢れています。
そんな時、ふと思い浮かんだこの疑問。
野生と栽培の違いって何?
なんとなく分かったつもりでも、説明できるほどの違いは分かりません・・・。そこで本記事では野生植物と栽培植物の違いについて調べてみました!
目次
野生と栽培の違いを調べてみた!
筆者は自宅のベランダで野菜を育て、私の父は実家近くに畑を借りて、野菜づくりを楽しんでいます。実家近くは自然が豊富で、近くの山では山菜を採ることもできます※。そんな自然豊かな環境もあいまって気になったのが「野生と栽培の違い」。
具体的には、どのような違いが定義されているのでしょうか。
結論から言うと、
- 野生植物は自然界で生き残る仕組みが健在!
- 栽培植物は人のために改良されている!
詳しくみていきましょう。
※山菜は自生している植物です。山菜が生えている土や周辺の環境を乱さないために、山菜採りがNGとされている山もあります。許可されていない山での山菜採りはNGですよ!
植物の性質を知ろう
まずそもそも植物は(というかどの生き物においても)育っていく周りの環境の影響を受けながら、
- 栄養成長
- 生殖成長
の2つをくりかえして、次世代に命をつないでいます。
植物の場合、
- 発芽し、葉や根を大きく広げ、栄養を補給する
- 花を咲かせ、受精し、果実を膨らませて種を残す
を行います。野生にせよ栽培にせよ、植物がうまく育つためには、「栄養成長」と「生殖成長」のサイクルをうまく循環させる必要があります。
「農業」では、この植物の成長を人為的にサポートします。
人為的か人為的じゃないか、これも野生と栽培の違いのひとつと言えます。
作物の原産を知ろう
人が植物の成長をサポートする場合、作物の減産を知る必要があります。植物に限らず、生き物は、周りの環境変化に対応しながら成長を繰り返しているのですから。
原産を知ることで、その植物に最適な環境を理解することができます。最適な環境を整えるだけで、植物の成長は変わります。
例えばパセリやローズマリーなどのハーブ。その原産はヨーロッパにあります。冷涼で乾燥した土地が原産なら、寒さに強い特徴があります。そのため、冬の間うっかり外へ放置してしまっても、あまりダメージを受けている様子がありません。
ハーブは全般的に育てやすいので、家庭菜園におすすめ。
生存戦略の違いが、野生と栽培の違い
野生と栽培の違いの一つは「人為的に植物の成長をサポートしているか否か」。しかし調べてみると、その決定打となるのは、生存戦略の違いのように思えます。
野生であれ、栽培であれ、生き物は
- 栄養成長
- 生殖成長
を繰り返すと書きました。
野生植物であれば「生殖成長」の目的は、種を広範囲に拡散することで、子孫の”生育範囲を広げる”ことにあります。
一方で栽培植物は、人の「栄養成長」の材料として、人が成長に手を出した植物です。”生育範囲の広がり”より”確かな収穫”が優先されます。そのため花が咲いて実がなったとしても、種を散らし、生育範囲を広げるということは起きません。
野生と栽培の違いと強み・弱み
自然界では、どのような環境変化が訪れるか予想できません。
そのため野生植物は、種からすぐに芽が出るわけではなく、条件が揃わない限り発芽しないような仕組みになっています。野生環境に臨機応変な対応ができるのです。
一方、栽培植物の場合は”確かな収穫”が優先されているため、繰り返し品種改良が行なわれています。自然界で生き抜くために役立つ堅い殻や鋭いトゲ、苦味やえぐみが取り除かれ、人が栽培しやすく、人が食べやすいものになっています。
野生と栽培の間?!自然農法
野生と栽培の違いは、人の関わり方が違いに関係していました。しかし食の安心・安全志向の高まりからか、野生と栽培の中間のような栽培方法で育てる野菜がひそかに浸透し始めています。自然農法ってご存知ですか?
肥料も農薬も使わない農法
自然栽培とは、農薬や肥料に頼らず、土を活かし、根を活かし、作物を活かし育てる栽培方法です。
生産者の皆さんは、作物がそだちやすいようにお手伝いをしています。一般の栽培や有機栽培などとは違い、大きく育てるための肥料や、病害虫を防ぐための農薬を使用しません。
自然の力を借りて作物を育てる栽培です。引用元:よくある質問 自然栽培の仲間たち
映画化もされた『奇跡のリンゴ』というお話、ご存知でしょうか。
著者・木村秋則さんは、「不可能」と言われてきたリンゴの無農薬・無肥料栽培を成功させ、話題となった人です。
自然農法は、なるべく人の手を使わず、最低限の手助けだけで栽培する方法です。化学肥料も農薬も使いません。それどころか雑草の処理も最低限しか行わないとありました。従来の栽培方法から考えると、野生と栽培の中間って感じがしませんか?
土が大きく関わってくる
木村秋則さんは”土”に着目し、農作物を育てています。『土の学校 』では、自然農法を行うにあたり大切にしている土へのお話がまとめられています。
まず、土をあまり耕しません。土の上に、枯葉や少し手を入れるために刈り取った雑草を載せるだけ。土に棲む微生物の分解にまかせ、人の手ですき込むことはほとんどありません。
虫や雑草を農業の敵として考えず、むしろ彼らの力を借りて、農作物を育てます。
もちろん自然農法で農作物が元気に育つようになるまで、そのための土づくりには長い時間を必要とします。それでも野生に近い環境で農作物を育てるのが、自然農法の特徴です。
参考文献
- 堀江武監修,2015,『図解でよくわかる農業のきほん: 栽培の基礎から新技術、流通、就農まで (すぐわかるすごくわかる!)』,誠文堂新光社
- コリアンダー wikipedia
- 自然栽培の仲間たち
<ライター紹介>
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いつか自給自足生活を送ってみたいライター。ただし生粋のズボラなため、家庭菜園にまず「ラクさ」を求める。失敗は成功のもとなので、失敗してもあまり気にしない。育てるのが好きな野菜はハーブ、ピーマン、ナス。たくさん収穫できて、比較的虫がつきにくいから。