思わず野菜好きになっちゃう絵本!?肉食動物オオカミが野菜作りに励む絵本
このタイトルを見て「変だな」と思う方は多いと思います。「え?肉食動物が野菜を食べるの?」「肉食なんでしょ?」となりますよね。
絵本の世界でも、野菜の作り手は人間や森の小動物(草食系)が多いのですが、今回紹介したい野菜が好きになる絵本は「ウルフさんのやさい畑」。
主人公は珍しいことにオオカミです!
さらに注目したいのが、野菜を作って食べるだけではなく冬越えに備えて野菜の長期保存に取り組む場面。
本来は野菜作りとは無縁そうなオオカミですが、彼が野菜作りに取り組む姿は努力の人という感じで、応援したくなること間違いなしです!
ウルフさんのやさい畑(作:クレイアー・ボーリエー)
オオカミのウルフさんは肉食動物。
小動物や鳥が食べたくて狩りをしていますが、季節は冬で獲物が捕まりません。どんどんお腹が空いて、悲しくなって「このままじゃダメだ!」と、一念発起して野菜作りを始めます。
農家から道具を借りたり、野菜作りの本を読んだりしながら庭に畑を作ってカブやカボチャなどの色々な野菜を育てていきます。
ベジタリアンになったことで心にも変化があり、次第に穏やかになるウルフさん。そんなウルフさんをみて「もう狩られる心配はない」と安心した小動物たちとも仲良くなり、穏やかな日常に幸せを感じていくのです。
「ウルフさんのやさい畑」から分かること
この絵本は、最初は獰猛なオオカミだったウルフさんが、野菜作りを通して心身ともに変化していき、最終的には自分自身で幸せだと感じられる生活を手に入れていくお話しです。「野菜作り」のみのお話しではなく主人公の心の描写も感じられるので、読み手にも幸福感を与えてくれます。
野菜自体に興味を持っている人だけでなく、心に不安がある方や心配事を抱えた方にも是非読んで欲しい一冊です。
ちなみに畑仕事や野菜作りなどの土いじりで精神が安定するというのは科学的にも証明されています。
土の臭いや太陽の光を感じることで嗅覚や視覚などの五感が刺激され、脳が活性化するのです。そして土壌にあるバクテリアの中には、幸福感を引き出してくれるものがあり、それらに日々触れることで安定して前向きな気持ちになっていくそうです。
参考文献
▶︎畑仕事がうつ病に有効?太陽と土いじりの関係
▶︎土いじりを主とした園芸活動の効果
ウルフさんの野菜の保存方法
さて、ウルフさんの野菜作りのそもそもの目的は「冬場でも食糧に困らないため」でした。
野菜作りを始めてまもなく収穫ができるようになると、本来の目的を忘れずに野菜をどんどん瓶詰にして保存していきます。戸棚いっぱいに野菜の瓶詰を並べるシーンはリアルかつ可愛らしいのですが、ここで「野菜の瓶詰」の詳しい工程までは紹介されていません。
でも、読み終えた方は絶対に気になるハズです!
実際にネットや本で調べてみると「面倒くさがりの私でもできるかも!?」という印象でしたので、以下に紹介しますね!
- 好きな瓶を用意し、中性洗剤で念入りに洗う
- 鍋に湯を沸かし、熱湯消毒する
- トングなどで瓶を清潔なタオルにとり、完全に乾かす
これで瓶の準備はOKです!
あとは好みの野菜をしっかりと茹で、茹で汁ごと瓶へ入れます。茹で野菜以外にも、酢漬けやオイル漬けもできますよ。
- 液体は瓶の9分目ほどまでたっぷりと注ぐ
(野菜が完全に液体に浸かるようにする) - 瓶のフタを閉めたら、鍋に瓶を立てて入れる
- 瓶の8分目くらいまで水を入れて再び火にかける
- 沸騰してから5、6分間茹でたら取り出して冷ます
完全に冷えると瓶の内圧も下がり、瓶がかなり硬く閉まります。開ける時はご注意ください。このまま常温で1ヶ月、冬場なら2か月ほどは持ちますよ。通常の野菜は傷みやすいですが、この方法で保存しておけばかなり長い時間保管しておくことができますね。
野菜を大切にする意味でも有効な方法ですし、最近では野菜の瓶詰の写真が「インスタ映え」と言われて密かに流行ってもいるようです。
まとめ
お腹も心も満たされる、そして「野菜の瓶詰」という生活の知恵に触れることもできる「ウルフさんのやさい畑」は、野菜作りをコツコツと一生懸命にしている様子がよくわかる絵本です。
野菜作りは一日にして成らず、種をまくだけではなく、そこから日々の雑草取りや水やりも欠かせません。でもそういった時間の使い方がとても大切だという事は、野菜を作るうえでまず知っておきたい気持ちではないでしょうか。
野菜作りを既にしている方も、これからやってみたい方も、楽しく読みすすめられる貴重な絵本ですよ!
<ライター紹介>
suzumushi23
絵本とハーブと猫が好きな社会人ライター。
仕事に家事・育児にと時間がないので、家庭菜園に「簡単さ」と「コスパ」を求めて試行錯誤中。