野菜を好きになる絵本『ぜんべいじいさんのいちご』美味しいいちごを育てたくなる
子供の保育園で園児たちに「好きな食べ物は?」と聞くと多くの子が「いちご!」と答えます。夏の七夕には「いちごをいっぱい食べたい」という短冊も多数あり、いちごの人気が伺えますね!
甘くて酸味の効いた独特の味が口の中をさっぱりさせてくれるいちごは、子供のみならず老若男女から人気があるのですが、人気がありすぎて人のみならず多くの動物からも愛されているんです。
今回はそんな様子も分かりやすく描いた絵本をご紹介します!
目次
ぜんべいじいさんのいちご(作・松岡節)
山に住んでいるぜんべいじいさん。優しくて面倒見の良い性格から、家の前にはいつも森の動物たちが遊びに来ています。ある日畑でいちご栽培を始めるじいさんですが、畑をよく耕し、地面に藁を敷いてやりと、たっぷりの愛情をかけてゆっくりと育てます。ようやく少しずつ実ができてくるのですが、なんだかんだと困ったり悲しんだりしている森の動物たちに、快くいちごを分けてあげるのでした。
「ぜんべいじいさんのいちご」から分かること
いちごの栽培時期がわかる絵本
一見小さい子供向けのほのぼのとした絵本の「ぜんべいじいさんのいちご」。ですが実はそれだけではなく、いちごの最適な栽培時期がわかる絵本でもあります。
いちごは基本的に
- 苗の植え付け時期:9月中旬~11月上旬
- 収穫時期:年をまたいで4月下旬から5月中旬
です(品種によっても前後します)。
ナスやキュウリのように、植えて数カ月で収穫できる野菜と比べてもかなりの長期戦ですよね。
収穫までの長い期間、甘い香りは虫を寄せ付けやすいですし、地面から近い位置で育つのでうっかり若い実が地面に触れると腐ってしまったり虫の被害にあいやすくなったりと常に心配が付きまといます。
そこを優しさと持久力をもって乗り越え、立派ないちごを収穫するまで頑張り続けるぜんべいじいさん。そこに野菜作りの心構えのようなものも伺えるのです。
いちごってフルーツじゃないの?
ここまで読んでくださった方はこのような疑問を持つと思います。「野菜好きになる絵本の紹介じゃないの?」「いちごって果物じゃん」と思った方はちょっと待ってください。果物にカウントされやすいいちごですが、実は農林水産省では
- 田畑でつくるものを「野菜」
- 樹になるものを「果物」
と分類しており、いちごは野菜に分類されているのです。
生産に関する栽培過程から考えても、いちご農家などの生産者側からも「野菜」と認識されています。ですので、今回紹介してもOKかなと思い至ったわけです。実際とても魅力的な絵本で、我が家の家庭菜園でもいちご(野いちごですが)を育てるきっかけとなった一冊なのです。
ただしそのように分類しているのは日本のみで、海外ではいちごは「フルーツ」として扱っているので、「いちごは果物」の意見も完全に否定できないところではありますが・・・。
実際、いちごの栽培は難しい?
植え付け~収穫まで半年以上の歳月がかかるいちご。それだけ管理が大変ではあります。人が好む野菜なら昆虫や害虫も狙って来ます。病害虫対策も必要ですし、乾燥に弱いのでこまめな水やりも欠かせません。
さらにいちごは多年草なので冬を越すわけですが、冬場は休眠して苗が小さくなります。その間はなるべくなら液体肥料などで生育をサポートしてあげてください。
寒さには比較的強いいちごですが、雪が積もると葉が小さくなってしまい収穫にも影響しますので、ビニールで屋根をつけるか最初からプランター栽培にして室内に取り込みやすくしておくと安心です。
まとめ
寒い冬場を丸々と越し、美味しくて可愛い実を収穫させてくれるいちごですが、人の管理やサポートがあればより糖度が高く大きな実をつけることができます。ぜんべいじいさんのように、いちごが好きな方や長期間の管理が苦にならない方は、思い切って家庭菜園から始めてみてはいかがでしょう?
最初は「いちご栽培なんて難しそう」と思いとどまっても、苗の時から可愛らしいいちごを育て始めたら、自然と手を焼きたくなりますよ!
<ライター紹介>
suzumushi23
絵本とハーブと猫が好きな社会人ライター。
仕事に家事・育児にと時間がないので、家庭菜園に「簡単さ」と「コスパ」を求めて試行錯誤中。